Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
「今の駕籠屋共であろう」
「いいえ、別の人のようでございました、あちらからバタバタと駈けて来て、わたしに突き当ると直ぐに姿を見えなくしてしまいました」
「誰か、そこにいるのは誰だ」
兵馬は咎めてみるけれど、誰も返事をする者がありません。
「隠れているな」
兵馬は進んで行き、
「怪しい奴だ。しかし心配なさらぬがよい、そこまで送ってお上げ申そう」
兵馬は女の先に立ちました。その時、
「うーむ」
と人の唸る声。
「あれ、人の唸っているような声が」
女は、さすがに気味を悪がって、足を留めました。
「ああ」
兵馬もその唸り声には、驚かされないわけにゆかなかったようです。
「今の悪い奴でございましょう、それとも、あの駕籠屋が、まだそこいらに倒れているのでございましょうか」
「左様ではない、あれは……」
と兵馬は答えて、当惑しました。今、暗い中で唸り出したのは、さいぜん追い飛ばした駕籠屋でもなく、いま出会頭にお角に突き当った怪しい者でもなく、それとは全く別の人、すなわち、兵馬が吉原の茶屋からこれまで担いで来た神尾主膳が、地上へ差置かれたところで息を吹き返したために、その唸り声に違いないから、それで兵馬は、ハタと当惑しました。