Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
道庵先生は、そんなことにさまで興を催さないから、思わず大欠伸をすると遠藤老人は、道庵先生の席を顧みて、
「これはこれは、道庵先生、久しくお見えなさらんな、相変らずお盛んで結構、ちとやって来給え」
「遠藤の御隠居、暫くでございましたな、相変らず投網の御自慢、さいぜんから面白く拝聴しておりますよ、実は拙者もあの方は大好きで、ついお話に聴き惚れて、夢中になって大欠伸をしてしまいましたよ」
「は、は、は、しかしまあお世辞にも先生が、我が党の士であってくれるのは嬉しい」
「ところが、拙者は投網の方はあんまり得手ではございませんよ、その代り釣りと来たら、御隠居の前だが、おそらく当今では稀人の部でござんしょうな」
「ははあ、先生、釣りをおやんなさるか、ついぞ聞きそれ申したがそれは頼もしいこと」
「君子は釣して網せずでございますな、いったん釣りの細かいところの趣味を味わった者には、御隠居の前だが、網なんぞは大味で食べられません」
「なるほど、それも一理」
「拙者はまた天性、釣り上手に出来てるんでございますよ、拙者が綸を垂れると魚類が争って集まって参り、ぜひ道庵さんに釣られたい、わたしが先に釣られるんだから、お前さん傍へ寄っておいでというような具合で、魚の方から釣られに来るんでございますから感心なものです」