Japanische Klassiker mit Furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme
――一年くらい帰れないかもしれない。
村田はそう云って、立っていった。
「これでようやく、自分ひとりになれる」
駒場へ移った日に、半之助はほっとした気持で、そう呟いた。そして、退屈ではあるがしずかな、おちついた生活が、始まった。
そこは上目黒も、北の端れに近く、赤坂御門から西へ、一里何十町かいった、大山街道の右がわにあった。宮益坂という処までは、とぎれとぎれながら、町家や武家屋敷もあるが、坂をおりて、赤羽川の上流に当る小さな川を越すと、もうまったく武蔵野のけしきになる。……どちらを眺めても、なだらかな丘の起伏が延び、雑木林や、草原や、耕地のあちらこちらに、防風林に囲まれた農家や、神社や寺の、こんもりと暗い森が、古めかしく、ひっそりと見えるばかりだった。
薬園は八千坪ばかりの広さで、街道から少し離れた処にあり、周囲に木の柵がめぐらせてあった。
新しいこけら葺きの建物が三棟、物置、厩などがあり、栽培地は、丘と、斜面と、沼でもあったらしい湿地と、そして建物の西がわの平地とに繩張りがされ、しきりに土を鋤き返しているところだった。
半之助の住居は「お小屋」