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Japanische Klassiker mit Furigana

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やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme

Aozora Bunko

同心の一人が、はあと云って、小橋甚兵衛の顔を見た。平四郎は手で、さっと駕をさした。

「駕はいま見せたばかりではないか」

来太が喚いた。病人などの駕は、戸をあけて見せるだけが、習慣だったらしい。だが、平四郎の手ぶりは強硬な意味をもっていた。

二人の同心が、駕に近より、その戸をあけようとした。ちょうどそのとき、その戸が、中からあいて、履物を出して、一人の女が、すっと外へ出て、立った。

登世であった。

小橋与力や同心たちはいうまでもなく、来太とその同行者たちも、それぞれの立場で、あっと息をのんだ。しかし、もっとも驚いたのは、杉戸口から覗いていた、青山主馬であったかもしれない。

「あなたの云うとおりですよ」

登世はまっすぐに平四郎を見て、帯のあいだから小扇を出し、それを半ばひらいて、(次高来太になにか合図をしながら)云った。

「これは柳沢さまの荷駄ではありません、お見込みどおりにせものです、向うの長持に入っているのは鉄炮です、それで、どうなさいますか」

来太は登世の合図を見た。東から、この関所の木戸へ向って、騎馬一人、徒士七人ばかりの、侍たちが近づいて来た。その先頭は、すでに木戸にかかっている、そして、馬上にいるのは、菱屋庄兵衛であった。