Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme
追手が来たら、やりすごすつもりで、……岩の一つへ足をかけ、物音を聞きすまして、次の岩へ移る、という動作を繰り返しながら。いつか粒の大きな霧が巻いて来て、みるみる岩が濡れはじめた。それで、ふいに足が滑った。
岩にとりつこうとしたが、砕けた岩の急勾配で、彼はずずずと滑り落ち、足先がなにかに触った、と思うとたん、躯が横になり、まっ暗な穴のようなところへ、岩屑といっしょに、転げ落ちた。
下へ止って、しばらくは、そのまま、倒れていた。がらがらとあとから、まをおいて、岩屑が落ちて来たが、その反響する音で、そこが洞窟の中だということがわかった。
彼はやがて、そろそろと身を起こした。
どこにもけがはなかった。落ちて来た穴の、上のほうを見たが、少しの光りも見えず、なんの物音も聞えなかった。あたりは塗りつぶしたような闇で、どこがどうなっているか、見当もつかない。やや長いこと、ようすを聞きすましてから、彼は、燧袋を、とりだした。
三
用意して来た小さな蝋燭に、火をつけた。
湿気のない、よく乾いた空気のなかに、いま崩れた岩の、こまかい粒子の粉が舞っていて、蝋燭を中心に、まるく光りの暈をつくった。