Japanische Klassiker mit Furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme
すぐ下は杉と椹の大きな林で、それはそのまま、右がわの谷のほうまで、深い森になって続いているが、その樹海の向うに、椹ヶ池の静かな水面が、見える。平四郎はその池と、池のまわりを囲んでいる、林のあたりを、(なにやら訝しげに)さっきからじっと、見まもっていた。
「おかしい、どうもへんだ」
彼は口のなかで呟いた。主馬はまるで気がつかない、しきりに手まねをしながら、
「私はよく危険の前兆を感じるんです、ああ今日はなにか悪いことが起こるな」こう自分の感想を述べていた、「または道を歩いていて、なにか不幸な出来ごとにあいそうな気がする、じつにはっきりと、それこそどきりとするくらいにです、しかしなにごとも起こりません、どんな危険も、どんな不幸な出来ごとも、要するになにごとも起こらないんです、つまり、私がなにか危険の前兆を感じたときは、まったく安全なんだ、という証明になるわけです」
平四郎はなお池を眺め、池をとり巻いている林をみまもり、そして、いかにも納得がいかぬという表情で、ふと、首をかしげたりした。
「ところがです、ゆうべ、といってももう三時ちかかったでしょうが、あの姉妹が洞窟へ逃げ込んだときですね、ちょうど私ひとりだったが、追い込もうとして、はっと立ち停りました、危険の前兆です、こいつは危ない、と思ったんです、……なにか云い