Japanische Klassiker mit Furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme
その池の水は澄んでいる筈である、そんなふうに濁るわけがないのである。それから、池畔を囲んでいる林もおかしい、どんなぐあいにおかしいかは、ちょっと云えないが、なにか不安定で、ざわざわしたものが感じられる。こういう意味のことを、平四郎はゆっくりと、手まねをいれながら、説明した。
「それはきっと、あれですよ」主馬はこともなげに云った、「かんば沢の大崩壊で、この辺の地盤がいったいに……」
平四郎がふり返った。主馬もふり返った。そして、二人とも(主馬のほうが先に)走りだした。おーい、という声。いたいた、という叫びが、すぐ向うの、茅戸山の中腹の、林の中から聞えて来たのである。
「どこだ――」
走りながら、主馬が喚いた。
彼は声をめあてに、林の中へとびこんだ。そこはかなり急な斜面で、木の下枝がびっしりとさし交わし、また下生えの笹が、地面を掩っているので、うっかりすると足が滑った。
「此処です、こっちです」
声はすぐそこに聞え、捕方の者が五六人、集まっているのが見えた。
二
「どうした、捕ったか」
こう叫びながら、主馬がそっちへ、近よっていった。
捕方の者たちは、左右にひらいた。