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Japanische Klassiker mit Furigana

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やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme

Aozora Bunko

凭れかかっている花世の、柔らかい肩が、温かく、しんなりと重くなり、気がついてみると、どうやらうたたねをしているらしく、かすかに、安らかな寝息が聞えた。

「眠ってはいけない、風邪をひくよ」

半之助は、彼女の肩へ、そっと手をまわしながら、囁いた。

花世は「うふん」と鼻ごえをあげ、抱かれた腕の中で、彼のほうに身をすり寄せ、頭をこちらの肩へ乗せてしまった。つむった眼の、長い睫毛が、月の光りで下瞼に影をおとしている。……うぶ毛の生えた、なめらかな頬、かたちよく波うっている唇、あまり高くはないが、ふっくらとした、可愛い鼻。これらはすぐ眼の前に、殆んど相触れそうな位置にある。……母親の乳の匂いのように、寝息があまく匂った。包むような、ほのかにあまく、温かい匂いである。それは寝息だけではなく、肌からの匂いも、混っているようだ。

――あんまりお饒舌りをしすぎて、疲れてしまったんだな。

半之助はこう思って、ふと微笑しながら、片方の手で静かに、怖れるように、彼女の髪を撫でた。

花世はまた鼻声をあげ、仔猫が母のふところをさぐるように、肩と頭とを彼にすりつけた。彼が抱いた腕に力をいれると、さらにしんなりと重みがかかり、ふと片手を、彼の着物の衿から、ふところへとさし入れた。