Japanische Klassiker mit Furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme
千之助はじっとこちらを見た。細ながい、痩せた、神経のむきだしになっているような顔が、ふとべそをかくように歪んだ。
「――貴方にはわからない」
彼は呟くように云った。
「――私のような親を持った人間が、どんな気持で生きているか、どんなに辛い、恥ずかしい気持で、毎日、毎日をくらしているか」
「――――」
「貴方は、帰れ、と云うことができる、そして、私が帰れば、それでさっぱりする、まもなくお友達が来るでしょう、お互いが肚の底まで知りあい、信頼しあっている、お友達が」
「――――」
「誰に気兼ねも、遠慮もなく、楽しく酔い、思うままに語りあうことができる、そのときはもう、私のことなど、貴方の頭には影も形もない、もし思いだすとすればですね、私には眼に見えますよ、貴方はふんと鼻をならして、ああ、あのいたずら女の」
「もういちど云うがね」半之助はがまんが切れたように、かなり荒い声でさえぎった。
「そんなわけのわからない、不愉快なことを云うのはやめて呉れないか、私には少しも興味がないし、うっとうしくなるばかりだ」
「ほう、うっとうしいですか」
千之助は刀を取って、左の手に持ちなおした。