Japanische Klassiker mit Furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme
佐枝はきれいに髪化粧をし、白い桔梗の花束を持って、母のあとから、さわやかに笑いながら、客間へはいって来た。まるでこの家の者のように、こだわりのない態度で、主馬にも馴れた挨拶をし、「わたくしが丹精して咲かせましたの、きれいでございましょう」
などと花を見せた。
「これをお床へ活けますから、そうしたらお給仕を致しますわ、もう少しお二人で召上っていらっしゃいませね」
「それは有難いですが」主馬が代って答えた、「友達と集まることになっているので、お帰りを待っていたんです、貴女のお給仕で頂けるとわかっていたら、べつの日にしたんですがね、ひじょうに残念です」
「半之助さまもごいっしょ」
彼女はきらっとこちらを見た。じかに名を呼ぶとは不躾である、彼は黙って頷いた。
佐枝は明らかにむっとしたらしい。しかし勝ち気な性分で、そんな顔色をみせては、自分の負けだと思ったのだろう。
「またお逃げになるのね」と笑いながら睨んだ、「法事の日のように、……お隠しなすってもだめよ、ちゃんとわかるんですから」
「てきびしいですね」
主馬は苦笑し、あえて弁解はしなかった。
母がそばから、なにか眼まぜをしていた。