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Japanische Klassiker mit Furigana

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やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme

Aozora Bunko

三人をひきついで、番小屋へ戻った小者は、同僚に向って、疑わしげに囁いた。

「百姓のじじいみたようだが、いやに威厳があるじゃないか、ここの女あるじの正躰もわからないし、いったい甘利なんという処は、どこらへんにあるのかな」

「見ず聞かず云わず」

同僚が肩をすくめて答えた。

「わかってるだろう、なにごとも見ず、聞かず、云わずだよ」

旅装を解いた権之丞は、すぐ風呂舎へ案内された。

彼は始終ふきげんな顔つきで、家のようすを点検するように眺め、頭を振ったり、眉をしかめたりした。すべてが、いかにも気にいらぬ、といったふうであった。

そこは半之助たちがはいったのとは、場所も造りも違っていた。むろん硝子の吊り灯りもない、平凡な据え風呂で、いつかの女などでなく、この家の若者が背をながしに出た。

権之丞はみかけに似ず、筋肉のひき緊った、逞しいみごとな躰格で、左の脇腹に大きな傷痕があった。

背をながしにかかった若者は、「これがあの猪の牙の痕でございますか」

こう云って、つくづくと見いった。権之丞の顔は、一瞬なごやかにゆるんだ。

「和助などは知っておるまい」

「まだ乳を飲んでおりましたそうで、しかし話はずいぶん詳しく聞いております」