Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme

Aozora Bunko

」

権之丞はまもなく座を立った。

彼は登世の性質を知っている。そしてどうやら、事はあまりに深く、しかも現実的に進みすぎているようだ。

――みどうのお家が危うい。

幕府政体はすでに磐石である。甲府城にどれほどの軍資を貯え、どれほどの兵を集めたとしても、またよし三五の諸侯が助勢したとしても、徳川氏の倒壊などはまったく望み難い。夢というにも足りない暴挙である。

――死を賭して諫めようか。

おそらく彼女は思いとどまるまい。父のみどう清左衛門が来て説いても、比女の決心をうごかすことはできぬだろう。……日にやけた、小さな顔に、刻みつけたような、深い皺があらわれ、僅かな時間でその眼も頬もぐっと落ちくぼんだようにみえた。

「和助、乙女さまは」

与えられた部屋へ戻ると、権之丞は、さっき背をながしに出た若者を呼んだ。

「ひるから海へ、お遊びに出ておいでなされます」

「こちらでのごようすはどんなふうだ」

「山へ帰りたいと、口ぐせのように仰しゃってでございます」

権之丞は若者を見た。

「おまえも、山へ帰りたいと、申したな」

「――はい」

「和助、こちらへ寄れ」

こう云って、権之丞は坐りなおした。