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Japanische Klassiker mit Furigana

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あるたんぼうきしゃのはなし

平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕

平林 初之輔

Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme

Aozora Bunko

この言葉をきいた時は僕も別の理由で、思わずはっとした。

「夫人が、その赤ちゃんの顔を見たときの表情ったらなかったわ。きっとあの人は、はじめから、そのことを内々心配していたんでしょう。妾が赤ちゃんに生湯をつかわせて、消毒して病室へつれてゆくと、大急ぎで、貪るように赤ちゃんの顔を眺めていらしったわ。そして一分間も眺めていらっしゃるうちに、脳貧血をおこしておしまいになったの。妾たちはみんなその理由を知っていたので、どうなることかとはらはらしてたのよ、かわいそうでね」

僕は覚えず婦長の話に興奮して、半畳を入れることも忘れてしまっていた。

「先生が赤ちゃんの顔を見たときの表情も忘られないわ。実に困りきったような、何とも言えない表情でしたわ。でも一番たまらなかったのは、夫人の旦那様がじっと夫人のベットと赤ちゃんのベットとの中央に石像か何かのようにつったって、二人の顔を見くらべてらしたときの顔ですわ。先生も、夫人も旦那様も、三人とも、事の真相をはっきりと即座に知ってしまったのです。あれじゃ知らないでいるわけにはゆきませんものね。それでいて三人とも、もちろん一言もそのことについては言わないのです。