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Japanische Klassiker mit Furigana

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あるたんぼうきしゃのはなし

平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕

平林 初之輔

Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme

Aozora Bunko

な家庭といえただろうと思う。とにかく平和な家庭であることは事実だった。

ところが、昨日、私の机の上におかれてあった雪子からの手紙は、この平和をかきみだす可能性をもったものであると私はすぐに判断した。彼女はアメリカから帰ってきたのだ。そして私に会見を求めてきたのだ。文面は至って簡単で、ただ、明日――つまり今日――の正午頃に、横浜の××ホテルまで訪ねてきてほしいというだけであったが、私には、その用向きは即座にわかった。そしてそれがわかると同時に私の頭は、突然巨岩にぶっつかったような状態に陥った。

きっと四年前の約束の履行を求めにきたに相違ない。してみると彼女はやはり私との約束を守っていたのだ。私を裏切ったのではなかったのみか、私自身が、今となっては彼女を裏切ったことになったのだ。彼女は四年も約束を忘れずにいるのに私は、たった一年余りで彼女との約束を破ってしまったのだ。が今となって、それがどうできよう? 実を言えば、私には今ではみな子と別れること自体はそれほど苦痛ではないかも知れぬし、ことによるとみな子自身もわけを話せば、快く別れてくれるかも知れぬ。それほど彼女は温順だった。