Japanische Klassiker mit Furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme
私はその陰険と執拗とに感嘆に近い憎悪を燃やした。
ことに、見ていても、いじらしいほど内気な、おとなしい、そして善良そうに見えるみな子が、大胆にも不適にも、自分の夫の行動を監視するために、こんなところへ先回りをしてきているという事実は、何とも辛抱のできぬ程いまいましかった。
私はいらいらしてどうにも心がおちつかなんだ。しかも四年ぶりで以前の恋人にあうというちょうどその時に、こんな不快極まる気持ちになっていることそのことが、さらに私の心を不快にするのだ。
私は受付で聞いた十一番の部屋の前にたって、コンコンと二つノックした。やがて静かな跫音がきこえて扉が内側へ開いた。私の頭はその時は無生物同然で何の考えも起こらなかったように思う。
そこには雪子がたっていた。何だか二人の会見は妙な具合であった。四年という年月はあまりに長過ぎたので、いきなり手を握るような真似もできず、そうかといって改まった口のききようをしてよいのかわるいのかわからなかったので、私はどうもばつがわるかった。私はことによると、その時ぽっと顔を赧くしたかも知れんと思う。何しろ、ひどくどぎまぎしたことはたしかにおぼえている。