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Japanische Klassiker mit Furigana

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あるたんぼうきしゃのはなし

平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕

平林 初之輔

Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme

Aozora Bunko

と雪子は面白そうに笑いながら言った。

「それに、十二番地には妾の家一件きりしかなかったのですよ。今ではあとに銀行か何かできて、すっかり様子がかわっているということですけれど」

「貴女にはご姉妹はなかったのですか?」

「いいえ、妾はひとりっきりですわ」

「その女はサンタ・マリア女学院を出たということですが」

「もうご冗談はよして、何か別のお話を承りたいものですわね、みな子さん。おっしゃる通り妾はサンタ・マリアの出身ですわ」

「ほんとうのことを言って下さい。私は気が狂いそうですから。雪子さん、この方はあなたとぐるになって私をからかっているのでしょう。私は……」

私は、自分がすっかり、雪子のために愚弄されているらしいことを知って、もう何もかも告白して、この苦しい立場から逃れようと決心した。そしてそのことを言い出そうとしたのであった。

その時、廊下をばたばた走ってくる慌ただしい跫音がきこえて、外側から扉にどさりともたれかかるような音がした。雪子はあわててとんで行って扉を開いた。入口には料理人の服をつけた五十あまりの男が息をきらして倒れていた。

「深――深尾の――お嬢さまはいらっしゃいますか。