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Japanische Klassiker mit Furigana

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あるたんぼうきしゃのはなし

平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕

平林 初之輔

Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme

Aozora Bunko

「立派な花環が来てますよ」

「連中のでしょう、ちっともおごらなくちゃならないことなんかないわ。それよりも入りはどう?」

「まあ八分といった所でしょうね」谷村はまだ薄気味の悪い笑いを浮かべていました。

「ところで、連中ののほかにもう一つ花環が来てたらおごる価値があるでしょう。しかも無名氏って言うんですからね、五時頃花屋から届けてきたんだそうです、名刺も何もつけないでね。今正面に飾ってありますが、すばらしいんですよ。それに無名氏がロマンチックじゃありませんか? 貴女にあんな隠れたパトロンがあるったあ、知りませんでしたよ」

「からかっちゃ駄目よ、ほんとにしますから」妾は冗談に受けながしていました。もちろん、そんなことは信じていなかったのです。

ところが、そのことはほんとうでした。無名氏とだけで寄贈者のわからない大きな、立派な花環なんです。むろん妾の頭に最初うかんだのはあの人でした。あの人がまさかこんな物を贈ろうとは信じられませんでしたが、そうかと言って、まるで見ず知らずの人が、匿名で妾に花環を贈ってくれるはずもなし、外には心当たりは誰もなかったのですから。

そのうちに幕はあきました。