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Japanische Klassiker mit Furigana

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あるたんぼうきしゃのはなし

平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕

平林 初之輔

Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme

Aozora Bunko

水路といっても雨の降らない日は水はほとんど流れていないのである。

午後六時を過ぎると動物園の中は、急にひっそりとして、「都会のまん中の処女林」の面目を発揮してくる。入場者の〆切は四時半で、五時には、かれこれ園内には人影が見えなくなり、それから、一時間ほどの間は、守衛や掃除人夫らしい人がまだ往来しているが、六時半頃になると、人間の声も、人間に関係のある物音も園内ではほとんど聞こえなくなる。

この時刻に、私は、いま言った橋の真下に、やもりのように側壁にぴったり身体をつけて息を殺していた。橋の下のちょうどまん中の辺にいれば、付近を通行する人に見つかる倶れのないことを私は昼間によくたしかめておいたのである。

やがて日はとっぷり暮れてしまった。園内が静かになるのに反比例して遠くの物音がだんだんはっきり聞こえてくる。電車の音は案外すぐ近くに聞こえる。タクシーの走る音が二分おきぐらいに通り過ぎる。そして、その間に、地球の隅々から集まってきた色々な動物の鳴き声が不気味なジャズのように騒々しく聞こえてくる。

人間というものは肉体が極度に疲れてくると、脳細胞に不思議な変調を来すものと見えて、私はしょっちゅう奇怪な妄想に囚われた。