Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme
このことは、ひどく係の役人を吃驚さした。「自分の現在の夫の年齢も職業も知らんということがあるか」と署長はどなった程だったが、「いくらきいても教えてくれませんでした」と未亡人はおだやかに答えた。その様子を見ると、未亡人の答えが嘘でないことは誰にでもわかるくらいだった。
検事が、未亡人と被害者との関係を審問しはじめた時、居並ぶ人々は一斉に非常な注意をその方に集注した。というのはこの二人の関係は近所界隈で好奇の的になっていたからである。被害者は既に五十にまもない年格好であるのに、未亡人の方はまだ、二十二三の若い身空であったせいもあるが、何よりも人々の好奇心を惹いたのは、被害者が、この家に住むようになってから二年たらずの間に五度も細君をかえたという事実を知っていたからだった。
未亡人は、最初のうちは、顔を赧らめて答えなかったが、検事の訊問にのっぴきならぬ気勢が見えたので、やっと口を開いて「妾はだまされたのでございます」と比較的大きな声で言った。この時にはじめて彼女の双眼には涙が浮かんだのであった。彼女が検事の訊問に答えたところを総合すると、彼女は、二年ばかり前に一度日本橋の商家の若旦那と結婚したのであるが、口やかましい姑と、それに対して全く彼女をかばってくれない夫とに愛想をつかして、わずか半年たらずで夫の家を飛び出し