Japanische Klassiker mit Furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme
「それからあと、何も物音はきかなんだのですか?」
「それからすぐねてしまいまして、あとのことは知りません」
その次に下田と下田の細君とがつづいて、前夜のことを訊問されたが、二人とも、十時頃に床についてねてしまったので別にかわった物音はきかなかったと答えた。最後に、安田が、少し興奮して起った。彼は前夜十一時頃まで読書をしていたが、やはり変わった物音は聞かなかったと答えた。下田夫婦も、安田の証言を確認した。
現場の付近で拾得した証拠物は、例の凶器らしい棒杭一つで、それは、林家の垣に使用されていたものに相違ないこと、昨日まではちゃんと垣にたっていたことが異口同音に証言された。
ところで、被害者の家の捜索によって、二階の紙屑籠から、洋罫紙にペンで認めて四つに折って封筒に入れたまま真ん中から二つに裂いた未亡人から夫にあてた簡単な置き手紙が一通出た。それは次のような文面だった。
私は出てゆきます。けれども、あなたへの抵抗を断念したのではありません。できるだけ近い将来にきっと復讐してみせます。
昭和二年一月八日 きよ
柴田久彌様
この事件については、これ以外のことは、その時も、その後も何一つわからなかった。