Japanische Klassiker mit Furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme
れずに屑籠の中へほうりこまれたのではないかとも思われる。それで私はいま、当時の新聞記事を材料にして、できるだけ正確にあの事件を小説体に記述し、最後に、私の論文の要旨をかかげて、広く一般の読者の批判を乞うことにしたのである。論文の題は「誰が何故彼を殺したか」というのである。以上の記述は単につけ足しに過ぎないのだ。
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誰が何故彼を殺したのか
新聞紙の報ずるところによると、田端の殺人事件はついに迷宮に入ったらしい。私は、最近に至って、この事件が迷宮に入ったことは甚だ自然であり、今後どれほど捜査を進めていっても、この事件の犯人をあげる見込みは絶対になかろうと確信するに至った。しかも私の推断は一般的性質を帯びたものであって、ひとり今度の事件だけに関するものではないのである。私の論拠は、統計学あるいは確率論 calculus of probability に基づくのである。
第一に殺人その他の重罪犯人は犯行中精神の朦朧状態にあり、犯行後になって、自分の犯行を全く記憶していない場合がある。かかる場合には動きのとれない物的証拠がない限り、犯人を検挙する手懸かりは全く無く、事件は迷宮に入るより外はない。