Japanische Klassiker mit Furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme
この場合にも結果は同様である。
以上のような出来事がないとしたならば、重大な犯罪事件が迷宮に入る気遣いはないと私は信じる。それは、私が現今の警察力に信頼するからではなくて、人間の通有性――誰かに自分の犯行を打ち明けたいという本能――を私は信ずるからである。この本能に我々は到底そんなに長く抵抗するわけにはゆかないのである。それほど、この本能は強いのである。
しかも重大犯罪のうちで迷宮に入った事件の比率を統計的に調べてみれば以上の五つの場合の起こる比率とほぼ一致するであろう。以上の論拠によりて私は一般に迷宮入事件は必ずしも警察の無能にのみよるものでないと信ずるのである。
しからばこん度の田端事件はどうかというと、私が前に列挙した最後の場合にあたるのではなかろうか。私は犯人が、最近北陸線の列車で不慮の死をとげた安田であると仮定するのである。これは飽くまでも仮定である。けれどもこの仮定によりてすべての辻褄があってくる。まず第一に下田の細君が死体を発見してバケツを落して異様な叫び声をあげた時に、すぐに彼が二階の雨戸をあけたことはいかに解釈すべきであるか? 彼は夜更かしをして朝寝をする習慣をもっており、たいてい十時過ぎでなければ床をはなれなかったということである。