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Japanische Klassiker mit Furigana

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あるたんぼうきしゃのはなし

平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕

平林 初之輔

Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme

Aozora Bunko

妾は卑劣にもあの手紙を湯気で濡らして、そっと開封した。

みんな妾が悪いんです。妾は見栄坊なんです。妾はこの上なく自尊心の強い強情っ張りなんです。でも、貴方の前には妾の自尊心なんぞは、霜柱が朝日の前で威張ってみようとするようなもんですわ。妾は妾の心と身体との全部を貴方に提供します。妾にはもう妾自身の意志も欲望も力も無いのです。貴方の意志が妾の意志です、どうぞ思う存分になすって下さい。貴方に責めさいなまれることですら、貴方に唾をはきかけられて蛆虫のように軽蔑されることですら、妾には限りなき喜びなんです。もう淋しいことは何も言って下さいますな。貴方は万能のジュピタのように妾に何でも命令して下さい。妾は、貴方の命令になら、羊のように従順にでもなります。生まれたばかりの嬰児の四肢をもぎとって煮え立つフライパンの中へ投げこむほど惨忍にもなります。

T子より

世界でただ一人のN様

世間の女はいろいろな手練手管を使って男を籠絡するということは聞いている。しかし、これ程までに大胆に、これ程までに傍若無人に振る舞う女が、実際この地球の上に生きていて、妾と同じ空気を吸っていようとは知らなかった。