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Japanische Klassiker mit Furigana

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あるたんぼうきしゃのはなし

平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕

平林 初之輔

Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme

Aozora Bunko

そして私はまたそうした面倒なことが人一倍嫌いなのだ。

小使は妙な顔をして、じろじろ私の顔を見ながら起ち上がって奥へ行った。やがて四十五六の、どこか多少見覚えのある眼の細い男が出てきた。

「村長はいま町へ行って留守でな、わしが助役じゃが、何か用事かな」と彼は私の顔を見ながら言った。どうも田舎の人間は相手の顔をぶしつけにじろじろ見る癖があるものだが、特に私の村ではそれが極端で、なれない人はきっと不愉快に思うだろうと思う。しかし彼は幸い私を知っていない様子だったので、私はやれやれと思って、さっき小使に話した用向きを繰り返した。

「その船井三郎ちゅう人はこないだ死んだで」

こういいながら、彼は起ち上がって、大きな帳簿をもって何かぶつぶつ独語を言って引きかえしてきた。

「この通りちゃんと死亡届が出とる」

私の前へつき出された戸籍簿の私の名前の肩にはなるほど朱の細字で「昭和三年二月二十一日死亡」と書いてあった。

「何か病気ででも死んだのですか?」

私は、飛んでもない間違いだとは思ったが、それでも朱色の不吉な文字を見ると少々嫌な感じに打たれながら、他人事のようにきいた。