Japanische Klassiker mit Furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme
しかし、それは六角堂とか安産地蔵とか、今日の祭りに縁のある界隈に限られているので、五条油小路のあたりは、さすがに十一時をまわるとひっそりしたものです。ちょうど陰暦の十五夜にあたるので、厚ぼったい雲の切れ目から、時々満月が姿を見せてはまたかくれています。
島田家の裏木戸のあたりをうろついていた男は、月がちょうど雲にかくれた瞬間に、そっと木戸をおして、風のように中へはいってゆきました。すると、今まで誰もいなかったように見えた通りへ、とつぜん降って湧いたように第二の男があらわれて、第一の男と同じように木戸をおして中へ消えてしまいました。
それから二十分もたった頃、第二の男は張合のぬけたような顔をして木戸から出てきました。すると今度は第三の男が不意に物陰から現れつかつかと第二の男のそばへ寄ってゆきました。
「どうだったい?」
「どうもこうもない、すっかりあてられちゃったよ」
「というと?」
「これさ」といいながら第二の男は小指を出して見せた。「これとあいびきというわけさ。何でも男の野郎はどっかの工場で職工長をしとるらしいぜ、それに顔はうしろ向きで見えなんだが、右の手が肱から先ないようだ。