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Japanische Klassiker mit Furigana

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ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme

Aozora Bunko

「聞いたことがありません」

「あいそが尽きるなあ」

「どこのお方で」

「ばか野郎、この湊川で討死をなすった正成公を知らねえようなやつと、口をきくのも勿体ねえや」

為は、唾をするように、そっぽを向いたが、そこにも、うす汚い浪人者と、旅商人と、この辺の船持旦那らしい男と女と、怪訝な顔して、聞いていた。

「ねえ、ご浪人、おまえさん侍だから、よくご存知だろう。このあんぽんたんに、はなしてやっておくんなさい」

「なにをじゃ」

「正成公のことを」

「知らんて、……身ども、いっこうに、左様な人物のことは弁えん。幼少の折かなんぞに、寺の和尚が物語るのを聞いたことはあるが」

その尾について、船持旦那が、

「足利尊氏と戦った楠木正成だろう。軍記読の辻ばなしで、わしも聞いたことがある。……ヘエ、このへんで死んだのかね」

と、見まわした。

町人にさえ、そのくらいな知識があるとすれば、黙っておられんと、急に腰の大小を思い出したらしく浪人者は、

「あれは、足利将軍家の祖、尊氏のために滅ぼされた賊軍じゃ。父子とも、あえない最期をとげおった」

噴飯にあたいするようなことを、それから図にのって、喋々としゃべり出した。