Japanische Klassiker mit Furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme
「あ。呼んでいらっしゃる」
何はさておきと、駈けだして行った。
「お召でしたか」
ひざまずいた膝のつきよう、横においた鍬のおきよう、ただの農夫ではあり得ない。
主従ともに野良着はつけているが、老百姓のほうなど、なおさらそれに見えなかった。寒かぜに赤くひき緊っている顔は、どこか大人の相をそなえ、大きくて高い鼻ばしらから顎にかけての白髯も雪の眉も、為によけい美しくさえあった。
「林助、悦之進」
「はいっ」
「あさっては、月並の汁講の日になるの」
「左様でございます」
「今月はわしが宅をする当番であったな。みな集まって参ろうな」
「みな楽しみにしております」
「皿、杯などの数が足るまい」
「どういうご趣向にあそばしますか、お小納戸の剣持与平なども、お支度に気をもんでおりましたが」
「趣向など無用。へだてなく語りおうて、ただ一夜をたのしむのが汁講の交わりじゃ。汁には到来の猪があり、菜根にはわしが手づくりの大根、ごぼうもある。……だが、菓子は城下の浙江饅頭を用いたいな。舜水先生のお好きなものであった。先生の故国、明の浙江のそれと風味が似ておるとか。先生逝いてもう十年、お偲びする話題ともなろう」