Japanische Klassiker mit Furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme
大したものだぜ」
「へえ、また柳沢家へ、将軍さまのお成があるのかえ」
「いうなよ、あまり」
植木屋でもあろうか、自分のかかとと軽石を持ちながら、勘太をふり向いた。
勘太は、つんぼのように、体を洗っている。植木職人はすこし声をひくめて、
「水戸のご隠居が気が狂ったということも、ご家来衆の口から、そこで聞いて来たわけさ。まだ世間じゃ知らないらしいが」
「ふーむ……」と、感心して、
「えらいお方だと聞いているけれど、黄門卿ともあろう人がよ、どうして気狂いになぞなったんだろう」
「将軍家の御意にかなわないために、おととし急にご隠居なすって、水戸の片田舎に、世盛りの中納言さまとは、まるでちがった暮しをしているんで、いろいろ思いつめたのじゃあなかろうかなんて――柳沢さまの家来ははなしていたが」
「なにか、乱暴でもするのかな」
「いろいろやるらしいよ。だが、なんたって、前中納言、ご三家のうちだ。めったなことは洩れないように、極々、内密にしているらしいなあ」
果ては、見て来たようなことをいう。また、聞き手のほうも、あいての者がいよいよ図にのるようにいちいち感心して見せる。
勘太の影は、いつのまにか、体をふいて、着物笊のそばにも見えなかった。