Japanische Klassiker mit Furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme
「無残、無残。ころしては可哀そうだ。……」
と、吉保は急に冴えた面に返って、
「では、呼んでみるか。……これへ」
「そう願えれば」
「しかし、わしは検校を待たせてあるが。――こういたそうかの。お蕗を隣室へ呼んで話せ。わしはここに寝ころんで、検校に療治してもらう」
「検校は盲目ですが、耳は聞えましょう。大事ございませぬか」
「盲人には、隠してもむだじゃ。わけて勘のよい杉山検校、諸家の内事は、みな知っておる。しかし、わしへ叛くようなことはない。紀の国屋文左を、当家へ伴れて来たのも彼。案じるに及ぶまい」
吉保は、小姓を呼んで、
「検校をここへ」
と、いいつけ、また、べつの家臣には、女部屋の錠口を開けて、お蕗をつれて来るようにと命じた。
出入りの自由を禁じた特殊な一棟があるとみえる。錠番の者もついて、やがてひとりの女性がここへ呼ばれて来た。――というよりも監視附で拉して来たというほうが実際に近い。
そのとき藤井紋太夫はもう席を次の間へ更えていた。かれは、お蕗のすがたをじっと見てから、
「暫時は、てまえがお預り申しておる。どうぞ、お退り下さい」
と錠番の者や、ほかの家臣をしりぞけた。