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Japanische Klassiker mit Furigana

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ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme

Aozora Bunko

かの女の想定の下に又四郎は根よくその辺を捜し歩いた。けれどそこには、小屋らしいものもない。ただ釣瓶を上げた枡形の石井戸に桟蓋がしてあって、美男葛のつるのからんでいるのが妙に心をひく。

なぜといえば、この風雅な井戸のうしろに、一本の六尺棒がおき忘れてあるのを見出したからである。それは、美男葛の巻いている井戸屋根の柱に立てかけてあった。

又四郎は手に取って扱いてみたりした。さっき物陰に潜んでいる間に通った庭番の持物などであろうが、

「……それにしても、こんなところに?」

と、不審を禁じ得ない。

――なにげなく。

かれは六尺棒の先で、井戸のそばの地上を二つ三つコツコツと突いていた。心のうちの焦躁が突かせたのである。

すると、驚くべきことには、それに対して井戸の中から答えがあった。井戸の底から確かに聞えたのである。

「おういっ」

と、呼ぶ声が。

又四郎は、棒を投げ捨て――恟っとわが耳を疑って立ち竦んでいた。――するとまた、

「おういっ、番人っ」

と、あきらかにいう。

井戸蓋をあげて、もう一度、耳を傾けた。――その影が、下からは見えるのではあるまいか。

「番人、釣瓶を下げてくれ。