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Japanische Klassiker mit Furigana

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ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme

Aozora Bunko

誰の気くばりか、庭口にも遠い垣のあたりにも、見張の者がおかれている。夜はいよいよ更けてゆく。

お蕗が、そこへ呼ばれたのは、時刻にして、もう丑の頃に近かった。お次のことばも、お蕗が代って訊ねられたのであろう。そこに入ったのはかの女だけであった。

おそらく微に入り細に亙って問われたであろうことは疑いない。時々の人の気はいもないような沈黙がつづくかと思うと、諄々と、また密かな声が洩れる。

すでに、五更にも近くなると、小納戸の者が、火桶を代えに来た。しんしんと寒さが覚えられたからである。また、燈芯の灯を剪って、新しく油皿へ油を注ぎ足された。

しかもなおそこの席は終らなかった。お蕗が退って行ったときは夜が白みかけていた。典膳がもどった頃は、朝の陽が、縁にさし始めていた。

やがて、介三郎や与平も退って出る。そのあと、老公はつねの如く、うがい手水をつかい、遠く皇居の空を拝し、祖廟に礼をし、静かに朝食を摂った。

侍医の鈴木宗典が、それのすむのを待って、すぐ罷り出た。侍医はいるが健康になお自信のある老公は、今日はよい、という日もあり、黙って脈を診させる朝もある。