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Japanische Klassiker mit Furigana

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ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme

Aozora Bunko

脇差を手に、腹を切ろうとしたのである。

「おろか者っ」

老公が大喝したとき、たれもいないはずの次の間からも、

「――あっ、何を召さる」

跳びかかって、ぱっと、紋太夫の小手をつかんだ者がある。

虚無僧の渡辺格外だった。

「――腹を切れと、おいいつけならぜひもないが、私の自害は、犬死でしょう。紋太夫どの、あなたの悔いは、それでは意味がありますまい」

「や。……お身は、悦之進だな」

「そうです」

「…………」

紋太夫は一語もなく、また自刃する力さえ失ったように、黙然、うなだれてしまった。

格外は、なぐさめて、彼にひとつの暗示を囁いた。真に証を立てられようとするならば、ここにあなたの為す途がある。――某家の空井戸に囚われている老公の二臣を救い出して来るものは、あなたを措いてほかにないではないか――と。

聞くと、紋太夫は、

「明朝、水戸へお立帰りの真際まで、何とぞ、お暇をたまわりますように」

そう告げて、悄然、どこへか立ち去った。もちろんその夜、かれのすがたは、邸内にそれきり見えなかった。

二十一

ときならぬ春雷は、一瞬、地を震わせ、人々の胆をおどろかせたが、落花微塵な威も見ぬまに、花の道中を、次の日はもううららかに、水戸へさして帰っていた。