Japanische Klassiker mit Furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme
――老公の寿碑の文が明らかに久遠へ向っていっているではないか。
「…………」
又四郎は、そういう意味のことを、介三郎へ答えたかった。けれど平常から思慮の深さでは自分などの遠く及ばない人である。その思慮深い介三郎へ今さら何をいおう。釈迦に説法でしかない。――で、彼はやにわに介三郎の手くびを把って、
「果てしない押問答、むだな争いというものだ。このうえは、西山荘へ参って、老公に是か非かのお裁きを仰ごう。さあ、歩け」
と、促した。
「ばかな」
振払って、介三郎は、
「かような事は、老公のお耳に入れてすべきことではない。たださえ憂いのお深いところへ」
「お耳に入れても、入れないでも、結果は同じだろう。ご心配をかける点も同じだ。凡庸なご隠居さまなら知らぬこと、老公ほどなお方、べつに仰天はなさるまい。――やるがよいと思し召せば、眼をおとじ遊ばしても、やれと仰っしゃるに相違ない。また、拙者の考えと同じなら、よせと御意なさるかもしれぬ」
「……むむ。そのことばには一理がある。事ここに至っては、老公におかれても、はや是非なしと仰せられよう。又四郎、来いっ」
意を決したか、介三郎は敢然、大股にあるき出した。