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Japanische Klassiker mit Furigana

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ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme

Aozora Bunko

――そのままでよい。足拵えなど、中食の折に茶屋などでととのえたがよかろう」

と、いって、すぐ駕籠の塗戸をしめさせた。

「…………」

ふたりは、顔を見あわせた。

もう駕籠はさきへすすんでゆく。

主命である。主君の行動だ。いささかの自我もここではゆるされない。

歩行の人々のなかに加わってから、介三郎は、鹿野文八にそっとたずねた。

「すこしも知らなかった、ご出府とは。……お支度にあたって、ご隠居さまには、拙者の帰りの遅いのを、お怒りではなかったか」

「そんなご容子はいささかも窺われなかった。渡辺悦之進どのからも、おとりなし申しておったし」

「悦之進といえば……悦之進だけが、お供のうちに見えぬが?」

「ゆうべ、先に、早馬で立った。――小石川へお先ぶれに」

「そうか……」

と、ふと、また、駕籠のうちから洩れる咳声を気にして、

「すこしお風邪気味のように窺われるが、どうして、かくは急に」

「侍医の井上玄桐どのも、そう案じて、ご延期をおすすめしたが、何か、ゆうべは固くご決心のご容子で、押してご出発を仰せ出された」

「――おそらくこれが、出府の終りであろうなどと仰せられたが」

介三郎は、胸のうちに、素足で霜をふむような傷さを覚えた。