Japanische Klassiker mit Furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme
「さりとは、粋狂な鹿よの」
「おのれと、裸のまま、追いかけました。ところが容易に捕まりません。迅足の者を、鹿のようなとはよくいったもので、さんざんにもてあそばれ、あげくに風邪までひいてしまいました」
「秀逸秀逸。近ごろ大出来な鹿ではある。悦之進、鹿のみやげに、いつもの糠煎餅、忘れるな」
「承知いたしました。が、ただいま林助の申しあげた話だけでは、まだ沈着なところがありますが、てまえの実見では、その時、裸のままで鹿を追いかけ廻して持て余していた彼の図は、実におかしいやら、気のどくやらで、何ともいえませんでした。老公へもご覧にいれたいくらいなもので」
「そうであろうそうであろう」
老公はひどく歓んで、右手で膝をたたいた。
徒歩と馬上と、かたちは主従の他行であるが、途々のはなしは、こんなふうに、何の気ごころも措けなかった。――また老公も、こういう仲に生じる心と心の春風を愛するもののようであった。
「そうそう。わたくしのことを左様にお笑いあそばすが、老公にも、時折、お狂気じみた独り言をよく仰っしゃる癖があります。ひとつ二つ、おたずねしてもよろしゅうございましょうか」