Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
一里の道をとんでかえってきたとみえて、このすずしい夜ふけに八郎太は、ビッショリと汗をかいていました。
「若さまは、もうおかえりになりましたでしょうか……?」
御城代さまごけらいのお話によれば、かくかくしかじかで……と、佐平治からきかされたとおりの、口上だったのです。
「まあ、待ちゃ! ハテ、ふしぎなことがあるもの! そなたの供していった小金吾は、まだかえってきませぬが……」
と、老母は床の上におきなおりましたが、ふだんのわが子のそぶりから考えて、老母にはなんとも解しかねるのです。なるほど、少年にも似げなく碁の天才でしたが、しかし小金吾は人から柔弱な、碁打ちのごとくにあつかわれることを、日ごろからきらいぬいていました。
その小金吾が、たかが碁に負けたくらいのことで、家をすて親をすてて出奔してしまったとは、なんとしてもうけとれる話ではありません。
「そなた、その話は、城代どのごけらいから、きいておいでなのかえ? ならば、気のどくながらもういちど、城代どのお屋敷へとってかえして、このたびは石藤左近将監どのお口からじきじきにきいてきてくださらぬか? 老母いささか腑におちかねるところあり、まことに心痛いたしておりますればと、ようくこちらの事情を申しあげての……遠い道をそなたにはまことに気のどくながら……」