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Japanische Klassiker mit Furigana

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おうしゅうきこう

欧洲紀行

横光 利一

Lesen Sie 欧洲紀行 (おうしゅうきこう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 120.107 Zeichen · 241 Bildschirme

Aozora Bunko

ゆるやかな遠山の流れが、日の射している温和な野に下り、再び丘陵となる頂きには、どこにも古い寺院の壁が見える。長い筆のように直立したピーノの樹は、丘々の皺を廻って連らなり、浮き雲の高く天空に動かぬ裾で、終日地上の祈りをしているようだ。

私は丘を下り赤塗りの馬車に乗って街を廻り、アルノの河岸へ出てみた。そこここの街路には、目立って美を増すフロウレンスの婦人たちが、人体に似た肌滑かなマルモの幹の間を、通りすぎる風景を眺めつつ、私はダンテの探し求めた婦人を想像した。ビアトリイチェやモナリザは、この街にはどこにでもいるようだ。

通るところ、博物館と寺院が競い建ち、そのどれもが名画を満たして静まり返っている。私は名画に飽きあきして、ふと覗く石庭の草の中の、人知れず咲いている真白な夾竹桃の花に、思わず旅の淋しさの慰められるのを感じた。

フロウレンスには三日滞在してミラノへ発つ。ミラノは大都会であるが、樹木少く、足をとどめさせない都会である。街の景観にも個性が感じられず、靴の中で足の痛むのを、パリーまで保つであろうかと、足先を撫でつつ、スイスの国境の方へ近づく。