Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こはんていじけん

湖畔亭事件

江戸川 乱歩

Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme

Aozora Bunko

あの晩、十時過ぎでもあったでしょうか、兎も角殺人事件のすぐ前なんですが、もう床についていた僕の部屋へ、突然長吉が駈込んで来ました。そして隅っこの方へ小さくなって『かくまって下さい。かくまって下さい』と上ずった声で頼むのです。見れば顔面は青ざめ、激しい呼吸のために肩が波打っています。余り唐突のことで、僕はあっけに取られてぼんやりしていましたが、間もなく廊下にあわただしい跫音がして『長吉はどこへ行った』などと聞いている声も聞えます。声の主はどうやらトランクの二人連の一人らしいのです。

それから随分方々探し廻っていた様ですが、まさか長吉と僕とが馴染の間柄で、僕の部屋に逃げ込んだとは、女中にしたって想像もしなかったでしょう。トランクの男はとうとう空しく引返した様子でした。僕は何が何だかさっぱり訳が分らず、やっと安心したのか部屋の真中へ出て来た長吉を捉えて、兎も角も事の仔細を問いただしました。すると、長吉がいいますには、丁度その晩も例の旦那の松村なにがしが宴席に来ていて、酔ったまぎれに余りひどい事をいったりしたりするので、長吉は座にいたたまらず、その場をはずして、あてもなく廊下を歩き廻っていたのだそうですが、通りすがりに、トランクの男の部屋の襖があいていて、中に誰もいないのを見ると、長吉はふとある事を思いついた