Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme
長吉が僕の部屋へ逃げ込んで来たのは、まあそういう訳だったのです。が、ここに不思議なのは、トランクの持主の態度でした。普通だったら、長吉の行方が分らぬとなれば、早速その事を宿の帳場に通じて、詮議させるべきですが、一向その様子がない。長吉が余り心配するものですから、僕はそっとトランクの男の部屋へ忍んで行って様子を見ましたが、妙なことに彼等は大あわてで出発の用意をしているじゃありませんか。こんな辻褄の合わぬ話はありません。これは何か彼等の方にも秘密があるに相違ない。長吉に金を盗まれたことを怒るよりも、彼女にトランクの中味を知られたことの方を恐れているのかも知れない。長吉が見たという莫大な紙幣の束、しかもそれをトランクの中へ入れて持ち歩いている。考えて見れば変なことばかりです。彼等はひょっとしたら大泥坊か、さもなくば紙幣贋造者ではないだろうか。当然僕はこんな風に考えました。
部屋へ帰って見ると、長吉はもう身も世もあらず泣きふしています。そして持前のヒステリー発作を起して、例の『一緒に死んでくれ』を初めるのです。それが、僕までも、どうにも取返しのつかない、いやにせっぱつまった、狂気めいた気分にして了いました。