Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こはんていじけん

湖畔亭事件

江戸川 乱歩

Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme

Aozora Bunko

「ひょっとしたら誰かのいたずらではないかしら」愚にも、私はそんなことまで想像して見るのでした。

しかしあの様な馬鹿馬鹿しいいたずらを、誰が何の為にやるのでしょう。私を驚かすためにか、そんな懇意な知り合は、この湖畔亭にはいないのです。のみならず、私の覗き眼鏡の秘密をすら、まだ何人もさとり得ないではありませんか。あの短刀、あの血潮、あれがどうしていたずらなどでありましょう。

では、やっぱりまぼろしなのか。しかし私には、何となくそうも思われないのです。脱衣場に血潮が流れていなかったのは、丁度被害者の足の下に着物か何かがあって、それにしたたったのだとも、又は床に流れる程多量の出血がなかったのだとも、考えられぬことはありません。でもそれにしては、切られた人が、あの深手で、どこへ立去ることが出来たのでしょう。叫声は、それは二階の騒ぎに消されて、宿の人も気づかなかったかも知れませんが、あの手負いが誰にも見つからずに、ここを出られよう道理はないのです。第一彼女は、すぐにも医者の必要があったのです。

そんなことを、とつおいつ考え続けて、その夜はついにまんじりともしませんでした。