Japanische Klassiker mit Furigana
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こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme
これはある友達から聞いた話しですが、その友達の伯母さんとかに、やっぱり隙見の病気を持った人がいて、丁度裏の板塀の向うに隣家の座敷が見えるのを幸い、暇にまかせてその板塀の節穴から、隣家の様子を覗くのだそうです。彼女は隠居の身の上で、これという仕事もなく、退屈なまま、まるで小説本でも読む気で、隣家の出来事を観察しているのです。今日は何人来客があって、どの客はどんな風をしていて、どんな話をしたとか、あすこの家では、子供が生れたので、たのもしを落して、それで何と何と何とを買ったとか、女中が鼠いらずをあけて、何をつまみ食いしたとか、何から何まで事も細かに、自分自身の家内のことよりももっと詳しく、いや先方の主人達も知らないようなことまでも、洩れなく観察しては、私の友達などに話して聞かせるのだそうです。丁度お婆さんが孫達に、新聞小説の続きものを読んで聞かせるように。
私はそれを聞いて、やっぱり世間には、自分と同じ様な病人があるのだなと、馬鹿馬鹿しい話ですが、いくらか心強くなったものです。しかし、私の病気は、その伯母さんのよりも、甚だしくたちのよくない種類のものでありました。