Japanische Klassiker mit Furigana
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こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme
だが、軽率に指名することは控えましょう。もう少し待って下さい」
河野はいつになく思わせぶりな、妙な態度に出ました。私は少からず不快を覚えましたけれど、それよりも好奇心が先に立ってなおも質問を続けるのでありました。
「宿の者というのは変ですね。僕も実はある人を、それが多分君の考えている人だろうと思いますが、一応疑って見たのですよ。然しどうも分らない点があります。第一死体をどう処分したかが不明なのです」
「それです」河野も肯きながら「僕もその点だけがまだ分らないでいるのです」
言葉の調子では、彼もまた問題の財布の持主である所の、湖畔亭の主人を疑っている様子です。定めし彼は、私の知っている以上の確な証拠でも、握ったのでしょう。
「それに、例の手の甲の傷痕です。僕は注意して見ているのですが、宿の人達にも、泊り客にも、誰の手にもそれがないのです」
「傷痕のことは、僕はある解釈をつけています。多分あたっていると思うのですが、でもまだハッキリしたことは分りません」
「それから、トランクの男についてはどう考えます。今の所誰よりもあの二人が疑わしくはないでしょうか。長吉が彼等の部屋から逃げ出したことといい、トランクの男が長吉の所在を探し廻っていたことといい、彼等の不意の出立といい、そして二つの大型トランクというものがあります」