Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こはんていじけん

湖畔亭事件

江戸川 乱歩

Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme

Aozora Bunko

それが今のお話しですっかり分った様な気がします」

河野は私達の驚く様を満足げに眺めながら、後を向いてかばんを引寄せると、その中から一挺の短刀を取り出しました。鞘はなくて、真っ黒によごれた五寸程の白木のつかのものです。それを見ると、私はハッとある事に気がつきました。鏡の表に殺人の影を見た時、男の手に握られていたのが、矢張りその様な短刀であったのです。

「これに見覚えはありませんか」

河野は私の方を見ていいました。

「エエ、そんな風な短刀でした」

私は思わず口を辷らせ、そこに巡査のいることに気づいて、しまったと思いました。覗き眼鏡の秘密がバレるかも知れないからです。

「どうです、もう打開けてしまっては」河野は私の失言を機会に「いずれは分ることですし、それに、覗き眼鏡の一件から初めないと、私の話しが嘘になってしまうのですから」

考えて見れば、彼のいう所は尤もでした。この短刀に見覚えのあることを明かにするためにも、手の甲の傷痕にしても、トランクの男の無罪を証する時間のことにしても、或は覗き眼鏡を取りはずしている時に発見した怪しい人影についても、その他種々な点で、あれを打開けてしまわないと工合が悪そうに思われます。