Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme

Aozora Bunko

「うーム。ようもじゃま立てをいたしたな! 老いたりといえども穴山梅雪、その素ッ首をはねとばしてくれよう」

「ハハハハハハ、片腹いたい臆病者のたわ言こそ、あわれあわれ、もう汝の天命は、ここにつきているのだ、男らしく観念してしまえ」

「エエ、いわしておけば」

死身の勇を奮いおこした梅雪の手は、かッと、陣刀の柄に鳴って、あなや、皎刀の鞘ばしッて飛びくること六、七尺! オオッとばかり、武芸者のまッこうのぞんで斬り下げてきた。

「笑止や、蟷螂の斧だ」

ニヤリと笑った若き武芸者は、さわぐ気色もなく身をかわして、左手に持った弓の弦がヒューッと鳴るほどたたきつけた。

「あッ」と梅雪は二の太刀を狂わせ、熊笹の根につまずいてよろよろとした。

「老いぼれ」

すかさずその襟がみをムズとつかんだ武芸者は、その時ガサガサと丘の下からかけあがってくる木隠龍太郎の姿をみとめた。

「あいや、それへおいであるのは、武田伊那丸君のお身内でござらぬか」

「オオ!」

びっくりして、高き岩頭をふりあおいだ龍太郎は、見なれぬ武芸者のことばをあやしみながら、

「いかにも、伊那丸さまのお傅人、木隠龍太郎という者でござるが、もしや、貴殿は、このなかへ逃げこんだ血まみれなる法師武者のすがたをお見かけではなかったか」