Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
たものらしい。
「あの竹童のやつをひっ捕らえていったら、さだめし呂宋兵衛さまもお喜びになるだろうし、おれにとってもいい出世仕事だ。どれ、一つ追いついて、ふんづかまえてくれようか」
いうかと思うまに、もう燕作は、礫のとんでいくように走っていた。それを見るとなるほど稀代な早足で、日ごろかれが、胸に笠をあてて馳ければ、笠を落とすことはないと自慢しているとおり、ほとんど、踵が地についているとは見えない。
竹童も、逃げに逃げた。折角村から蛭ヶ岳の裾を縫って街道にそって、足のかぎり、根かぎり、ドンドンドンドンかけだして、さて、
「もうたいがい大じょうぶだろう――」と立ちどまり、ひょいとあとをふりかえってみると、とんでもないこと、もうすぐうしろへ追いついてきている。
「あッ」またかける。燕作もいちだんと足を早めながら、
「やあい、竹童。いくら逃げてもおれのまえをかけるのはむだなこッたぞ」
「おどろいた早足だな、早いな、早いな、早いな」
さすがの竹童も敵ながら感心しているうちに、とうとう、ふたたび燕作のふと腕が、竹童の襟がみをつかんで、ドスンとあおむけざまに引っくりかえした。