Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
ときに旅のお武家さま、なにしろ今夜は更けておりますから、この上の中二階へあがって、ごゆるりとお休みなさるがいい。そこに夜具もある、火の気もある、食い物もある、男世帯の屋敷ですから、好きにしてお泊りなさい」
「かたじけない、ではお言葉にあまえて夜明けまで……」
と、半助はそこにいるのも気まずいので、びっこを引きながら、おしえられた中二階の梯子を、ギシリ、ギシリと踏んでいった。
「はてな……」と、梯子をあがりながら一つの疑念――「どこかで見たことのある男だが? ……ただの鏃師ではない、たしかにどこかで? ……」と、しきりに思いなやんだが、とうとう、中二階へあがるまで考えだせなかった。
卜斎にいわれたまま、押入れから蒲団をだして、そのうえに身を横たえながら、膝の槍傷を布でまきつけていると、また、すぐ下の土間であらあらしい声が起りはじめた。
「野郎、どうあってもいわぬな! いわなければ、こうだッ」
弓の折れがヒュッと鳴ると、蛾次郎がオイオイと声をあげて泣きだした。まるで七つか八つの子供が泣くような声で泣いている。
「いいます、親方、いいますからかんべんしてください」