Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme

Aozora Bunko

「拙者もすこし変に思ってはいるが、たしかいきがけには、ほかに横穴はないように心得ていた」

「しかし、このように両側のせまい穴ではなかったはず……はてな? こりゃちとおかしい……」

「忍剣どの、また煙の渦がながれてきた。とにかく、もどるところまでもどってみよう」

「せっかく、人穴城の根もとまで押しよせたに、煙攻めの策にかかって引ッ返すとは無念千万……ああまたまっ黒に包んできおった」

「ちぇッ、いまいましいが、もうここにもぐずぐずしておれぬわ」

さすがの勇士も、煙の魔軍には勝つ術がなかった。息づまる苦しさと、目にしむ涙をこらえながら、いっさんにその穴を走りもどった。

からくも、前にはいった床下へきた。まさしく、蚕婆の家の下にちがいない。とちゅうの道がちがっているように思えたのも、さすれば、煙のための錯覚であったかもしれない。

「こりゃ部下の者、この板を退けて、綱をおろせ、早く早く!」

と小文治が、槍の石突きを上へむけて、蓋の板を下からポンポンと突きあげた。

すると、入口に待ちかねていた部下の者であろう、板をはがして、二本の綱を無言のまま下へたれてきた。それを力に、忍剣と小文治は、ひらりと上へとびあがる!