Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
力にかけては、怪童といわれ、恵林寺のおおきな庭石をかるがるとさして山門の階段をのぼったじぶんである。なにをッ、なにをッと、引けどねじれど、鉄杖のほうが、まがりそうで、六部のからだはいぜんとしている。すると、ふいに、六部が腰をうかした。
「あッ――」
思わずうしろへよろけた忍剣は、かッとなって、その鉄杖をふりかぶるが早いか、磐石もみじんになれと打ちこんだが、六部の姿はひらりとかわって、空をうった鉄杖のさきが、はっしと、石の粉をとばした。
「無念ッ」とかえす力で横ざまにはらい上げた鉄杖を、ふたたびくぐりぬけた六部は、杖にしこんである無反りの冷刀をぬく手も見せず、ピカリと片手にひらめかせて、
「若僧、雲水」と錆をふくんだ声でよんだ。
「なにッ」と持ちなおした鉄杖を、まッこうにふりかぶった忍剣は、怒気にもえた目をみひらいて、ジリジリと相手のすきをねらいつめる。
六部はといえば、片手にのばした一刀を、肩から切先まで水平にかまえて、忍剣の胸もとへと、うす気味のわるい死のかげを、ひら、ひら――とときおりひらめかせていく――。たがいの息と息は、その一しゅん、水のようにひそやかであった。