Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
七人のかげが流れ矢をくぐってそとへとびだし、いっぽうの血路を斬りひらく覚悟で、うらの土塀によじ登ろうとすると、
「あぶない! そっちは危ない!」
とまた燕作の声がする。
「どこだ、そのほうはいずれにいるのだ」
「ここだよ、こっちだよ」
「こっちとはどこだ」
七人は行き場にまよってウロウロした。
矢は見るまに、めいめいの袖や裾にも二、三本ずつ刺さってきた。
「ええ、じれッてえな、ここだってば!」
「や、あの声は?」
「早く早く! 早く降りておいでなせえ」
「燕作」
「おい」
「どこじゃ」
「ちぇッ、血のめぐりがどうかしているぜ」
という声が、どうやら地底でしたと思うと、かたわらの車井戸にかけてあった釣瓶が、癇癪を起したように、カラカラカラとゆすぶれた。
「や、この井戸底にいるのか」
「そうです、ここより逃げ場はありませんぜ」
「バカなやつめ」
影武者のひとりか、ただしは本人の呂宋兵衛か、井戸がわに立ってあざ笑いながら、
「こんななかへとびこむのは、じぶんで墓へはいるもどうぜんだ」
「おッと、そいつは大安心、ここは空井戸で一滴の水もないばかりか、横へぬけ道ができているからたしかに間道です」