Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
たが、やがてきわめてひくい声で、
「さてさて珍しい刀をみることじゃ」
感慨無量な語調をこめて、瞳もはなたずつぶやいた。
「見るもなつかしいことである。これはまぎれもなき伊那丸の守り刀……」
「わたしも、しかとさように心得ますが」
「つきぬ奇縁じゃ……おもえばふしぎな刀とわが身のめぐりあわせのう」
「御意にござります、あれにたおれている少年を介抱して、ひとつしさいをただしてみましょうか」
「いや、世をしのぶ身じゃ。それはソッと少年の鞘にもどしておいたほうがよい」
「しかしなにやら、苦しんでおりますものを、このまま見捨ててまいるのもつれないようにぞんじますが」
「オオ、では、河原の水でもすくってきてやれい。じゃが、夢にも刀のことはきかぬがよいぞ。訊けばこなたの素性も人に気どられるわけになる」
「しょうちいたしました……」
と、ひとりが河原へ下りていくと、ひとりは竹童を抱きおこして活をいれ、口に水をあたえただけで、ことばはかけずにスタスタといき過ぎてしまった。
「ア痛……どなたですか……ありがとうございました。ありがとうございました……」
竹童は遠退く跫音へいくども礼をいったが、両手で顔をおさえているので、それがどんな風の人であったか、見送ることができなかった。